目的:ドラムマシンを「連打するとマシンガンに聞こえる」かどうかという視点でチェック。

動画は実験用に打鍵の強さ(速さ・ヴェロシティー値)を 108 に固定してあります。

雑感

SM Drums は良好。スネアだけで合計372(ラウンドロビン数8 x ベロシティーレイヤー数34)のサンプリングファイル。実験はVelocity固定なので実際に鳴ったのは8個のWAVファイルだけです。

MT-PowerdrumKit2 は少ないファイル容量でどうやってやり繰りしているのかわかりませんがけっこう自然なバラけ方をしてくれています。謎です。

SL DRUMS 2、SL DRUMS 3、Hexagon85、SDX はこれぞマシンガンですね。昔の実機ドラムマシンではこの現象はマイナス要素とされていたのですが、今は大量のドラムを無料でも入手できるのでそれほど気になりませんね。使い分ければ済みますので。

EXD-80 はシンセドラムの中では出色だと思います。楽器っぽい。32bit版しかないのが惜しい。

DrumKit1 はDAW側のバッファーを減らすと奇麗に音飛びしました。スッパーンと強烈なコンプとリヴァーブが録音前にかかっている一発芸のVSTなので、SupeRriff Guitar と同じくググると検索に引っかかるので名前だけはなぜか有名だけど要注意のVSTです。ドラムに限らずシンセでもフリーVSTのロムプラー系は微妙なのが多い印象。

全体で不思議なのは機械なのに「息継ぎ現象」のような揺らぎがみられることです。DrumCore3 や sfozrando での再生を聞いたときにン?と思ったはず。
バッファーが足りないとか、演算が割り切れなかったとか、製作者がランダムでイベント変更したりLFOの仕込みをしているとかありそうですがよくわかりません。

一応書いておくと、昔からあるマシンガンの対策はVelocityやタイミングや音色、場合によっては譜面自体を意図的に変化させることです。
もちろん、ズガガガガビビビビビーというのが良いんだ!というマシン全開チップチューンな曲の場合はこの限りではありません。

使用したドラムVST・サンプリングファイルの一覧

【 名前 / 分類と特徴 / アウトプット 】

動画では上記のフリーVSTドラムをDAWのREAPERで鳴らしています。
複数の音色がある場合は、一番目かもしくはスネアっぽい音を選んでいます。
全部のVSTを読みこんだ状態で使用メモリ(PC全体ではなくDAWのみ)を見ると 3.6GB 使用していました。
見た目のキャプチャ画像もREAPERのアイテムトラックに並べて動画の編集をしなくていいように横着しています。

※アウトプット数はDAWに表示されるもので、実際にハンドリングして使用できる数と違う場合がありました。

使用したサンプラー

Grace
sforzando
ReaSamplomatic 5000 (※ DAW の REAPERリーパーに付属内蔵)

その後追加されたり動画に収められなかったフリーVSTドラム

別記事にする時間が無いのでここに追記します。

OHやROOM付きのFreeドラムVST。

フリー版でもマルチマイクがこれからの主流になるのかな?と思わせる流れです。
特にSSD5はフリーでの定番になるかも。

なぜにヴェロシティー108なのか

フルショット127こそ最高の音になるようにチューンされているに違いない!?という幻想もあるので迷ったのですが、悩んだがゆえのVelocity108です。なんとなくなじみ深い数字なのでこれです。

まとめ

自分で使いたいと思ったのは、サンプリングファイルでは SM Drums 。
ロムプラー系では MT-PowerDrumKit2 。SSD5(Steven Slate Drums 5 Free)
シンセドラムだと EXD-80

ロムプラー系は出品も多いですがハズレ製品も多いです。貧弱なドラム型プレイヤーに読み込ませるのではなく、内蔵している音をWAVファイルにしてそのまま配ったほうが使い易いのではなかろうか?というのが結構ありますね。

読まなくてもいいお話

打ち込み用のドラムVSTは大ざっぱに分けて二種類でしょうか。

  • 電子音を鳴らすシンセドラム
  • 生でも電子でも他の楽器を録音したものを鳴らすサンプリングドラム

そういえば物理モデル音源のドラムでイイナーってのを聞かないな…

歴史的にはメトロノーム、リズムボックス、シンセドラム(ドラムパッド+ドラムシンセ)、リズムマシン(ドラムシンセ+パターンシーケンサー)、リズムマシン第二世代(PCM音源+準シーケンサー)、シーケンサー内蔵のシンセサンプラー、ワークステーションという感じで、その時代の技術の目いっぱいが混ざり合って次世代にスルスルっと化けた気がします。

ここで着目するのは、808ヤオヤ等の名機が神格化したのとは別に、サンプリングメモリと分解能を増やし続ける「より生っぽく」という潮流があったことです。

黎明期は「リズムマシンだから機械っぽくて当たり前」だったのが、PCMでリアルに近づくにつれ「マシンガンに聞こえるのは嫌だ!」という欲が出てきました。

なにしろ1980年代のPCMドラムマシンの価格は中堅のギターと同じくらいの値段がしたので、使い倒そうと必死だったんです(苦笑)

現在は「デジタル丸出しのデジタル」も「生演奏に聞こえるデジタル」のどちらも気軽に選択できるので憑き物が落ちた状態ですね。

表情を付けるためにタイミング音量だけではなく音色を変えるというのは、昔のドラムマシンにはなかなかできなかった芸当ですが、今は無料ソフトですら出来ますし、グリッチやDAW側の変化球も入れるとバリエーションがすごいことに。

あと、ドラムドラムと書いておいてなんですが、ドラム「セット」にこだわるよりパーカッションと広く考えたほうがいいんじゃないかなーと思ってます。ギターも打楽器っぽいとこかなりありますし。