概要:TTS-1はGM音源+α(≒ GS音源)の楽器音色を備えたロンプラーです。

かつては有料ソフトでしたが、今は無料のCakewalkをインストールするとオマケで付いてくる付属音源ですよ~と説明したほうが早いでしょう。

動作はとても軽く、一通りのなじみ深い楽器がそろっていますので作曲のスケッチにもちょうど良いでしょう。

DXi 規格に対応している他社製のDAWから呼び出して使えるのもポイント高いです。

※ TTS-1が含まれるDAWのCakewalkのインストール手順については下記のサイト内記事をご覧ください。↓

BandLab Assistant と無料のDAW、Cakewalk by BandLab のインストールについて

公式の説明書である 🔗 SONAR X3 付属プラグイン マニュアル.pdf の132ページ(← ほぼ一番最後)にTTS-1の記事があったのですが、困った事に情報が足りません。😅

そういうわけで、ここではリンク先の公式資料に載っていなかったCCについて補足します。

TTS-1 のMIDI(ミディ) CC(Controllコントロール Changeチェンジ)一覧

TTS-1のキャプチャ画面にMIDIコントロールチェンジのナンバーを書き込んだ図です

TTS-1のキャプチャ画面にMIDIコントロールチェンジのナンバーを書き込んだ図です ↑

ぶっちゃけ上の図だけでこのページの役目は果たしたようなものですが、なんだか寂しいので具体的な操作例も挙げて説明を続けます。

音色の変更の方法あれこれ

楽器の画面で直接、マウスをポチポチして選ぶ

TTS-1の楽器名が緑色で書いてある場所にマウスカーソルを乗せてクリックしてコンテクストメニューを出すか、またはマウスのミドルホイールをクルクルすると音色を変えられます。

このプラグインに限らず、GUI/操作画面付きのシンセならマウスをポチポチしていれば、説明書が無くても何とかなるものですね。

たいていのプラグインにロクなマニュアルが付属しないのもうなずけます(苦笑)

TTS-1のプリセットをコンテクストメニューから選んでいる図

TTS-1のプリセットをコンテクストメニューから選んでいる図 ↑

選んだ音色はDAW側の管理でプロジェクトファイルに保存されるので、楽器を曲の途中で入れ替えないシンプルな曲ならこれだけでも十分です。


曲の途中で楽器や音色の設定値パラメーターを変更したりするにはMIDIで制御コントロールします。

あらかじめ決めた番号に登録した音色を呼び出すのがプログラムチェンジです。

送信先の音源が違えば、プログラムチェンジの1番を指定しても同じ音色が出るとは限りません。

あなたの携帯電話の電話帳に登録されている1番上の番号がAさんだとして、他の人の携帯ではBさんになっているようなものです。つまり、1番に登録されている内容は機種や持ち主によって違うのです。

バンク → プログラムナンバー

TTS-1ではスタンダードなGM音色以外にも、バンクで分けてある音色のバリエーションを指定できる。

この章では、TTS-1の音色の一つである「Piano 2 st.」(左右に広がったステレオ音源のピアノ音 タイプ2)を各種ソフトウェアで選択する例を見ていきましょう。

下記を送信するとソフトウェアに登録された音色を指定できます。TTS-1ではピアノのステレオ音色ですが、他のシンセサイザーなどでは全く違う音色になります。

建物と住人の関係で例えますと、MIDI信号でプログラムチェンジを送信するのは、あくまでも部屋番号(プログラムナンバー)を指定しただけで、マンション(音源本体)が違えば住んでいる人(音色)は異なるというわけです。

つまり、Program Number 1を送信すればピアノが鳴るのがGM対応音源の定番ですが、XXXXのデフォルト設定ではブラス音色が鳴ります。ここは超基本なので感覚をつかんでおきましょう。

  • Channel 1(~16)
  • Bank
    • MSB 121
    • LSB 1
  • Program Number 2

ハードウェアのMIDIキーボード・コントローラーから直接送信もできますが、PCがあれば誰でもできるソフトウェアを使う方法を以下に書いておきます。

フリーソフトウェアの 🔗 Pocket MIDI でプログラムチェンジを送信するには、上部メニューのViewsでProgram Changeをクリックしてウインドウを表示させ、下図の赤枠内のようにする。
(ちなみにこのソフトはMIDI CCの送信やちょっとしたチェックに便利です。)

PcketMIDIでプログラムチェンジを送信する図

PcketMIDIでプログラムチェンジを送信する図 ↑

 

CakewalkのMIDIトラックで指定する場合

CakewalkのMIDIトラックで音色を指定

CakewalkのMIDIトラックで音色を指定する図 ↑

DOMINO で送信した場合

MIDIシーケンサーのDOMINOでプログラムチェンジを送信する図

MIDIシーケンサーのDOMINOでプログラムチェンジを送信する図 ↑

REAPER で送信した場合 ※ Progrum number を0から数えていることに留意。

DAWのReaperでプログラムチェンジを送信する図

DAWのReaperでプログラムチェンジを送信する図 ↑

たかが音色を選ぶだけでこんなに説明が長くなってしまった……

備考:音色でちょっと気になる問題。

Steel-str.Gt (ナンバー 026)のB3から上のサンプリングが陰でシュコーシュコーって変な音がして使いにくい。パーカッションに聞こえなくもないけどしつこくて無理。バグなのかわざとなのか…謎です。

 

※補足:GM音源の楽器の種類に興味がある方は、下記のサイト内記事をご覧ください。↓

MIDIノートナンバーの各種対応表。GM、GS、XGでのリズム楽器名。プログラムナンバーと楽器名と発音域。

古い製品だけに、ファイルサイズに遠慮のない今どきのサンプリング音源と比べると見(聞)劣りしますが、PCへの負荷が軽く扱いやすく、中途半端なsfz音源を使うよりはいい感じにまとまります。

さすが元有料製品なだけありパラメーターも一通りそろっていて、発音トリガーから一定時間後に掛かるビブラートもあります。意外とこれが出来るのは少ないのでポイント高いです。
まぁこの自動遅延のビブラートが無くても手動でホイールを回したりベンドをプルプルすれば済むのですが、ピロピローって適当に弾くときに勝手に味を付けてくれるので便利。

コーラスとリヴァーブはOFFにしてDAW側で掛けて管理したほうがやりやすいかな。

REREASEリリースの値は、曲によって変えましょう。

ATTACKアタックも、ギター音色ではー(マイナス)値に設定したほうが良かったりしたので適宜てきぎ調整。

他のパラメーターは効き目がエグかったり、ミキサー側で処理したほうが視認性が良いので、そのまま放置でもいいと思います。(GM音源は生楽器系が主なので極端な加工は合わない。)

TTS-1はCPUもメモリも喰わないので、10年前のPCでも1トラック1楽器x16チャンネルで割り振ってさらに全チャンネルにコンプとEQその他のエフェクトをかけても動きます。この条件で、CPU がCore i5 2520M PassMarkスコア 2300 の古いパソコンでもCPU使用率50%程度でした。

ピッチベンドについてのメモ(書きかけですみません)

ピッチベンドのMIDI情報自体はあくまで数値にすぎず、それを楽器側でどう解釈するかで鳴る音の挙動は変わります。
同じピッチベンド値 +8191 を受信しても、楽器側の解釈(ピッチベンドレンジの設定)で半音だけ上がったり、2オクターブも上がったりするわけです。

TTS-1の場合はEDIT画面の「BEND RANGE」ツマミかMIDIのContlol Change 26番により、0~24まで半音の幅で調整できます。最大で ±2 オクターブ、つまり4オクターブまでスウィープのように変化させられるわけです。
(ピッチベンドは受け手側の解釈に依存するので、動作は機種・ソフトウェアにより異なり、固定されて変更できないものも存在します。)

この際に問題になるのが分解能で、これが荒い(= 数値が小さい)と階段状に音程が変化して聞こえるので注意が必要。

DAW側の処理では14bitの16,384段階が多いのですが、ハードシンセサイザーでは有効ビット数が8bitの256段階だったりします。
ベンドレンジ12に設定した場合、1オクターブを128段階で移動、半音をたった11段階程度で移動せざるを得ず、ガッタガタに聞こえてしまうので注意が必要です。(こういうときはポルタメントの出番。)

実はこの仕様、MIDI楽器の説明書に付属するMIDIインプリメンテーションチャートに記載されていないことも多くて、実際にDAWにゆっくり操作で記録してみてデータの数値の差を見るしかないです。

これは再生音源側だけではなく、MIDIコントローラーのピッチホイールから送られるMIDI信号にも同じ問題が存在するので実機の鍵盤を使うときには配慮が必要と思われます。

ちなみにMIDIギターコントローラーのEZ-EGは8bitの256段階送信でした。
シンセによっては6ビットの64段階しかない機種もありましたし、実はベロシティーも127段階ではなく15段階しか送信しないなんていうMIDI機器もざらに存在します。
この機会にお手持ちのMIDIコントローラーから送信されたMIDIデータの数値をチェック(CakewalkではAlt+)してみると愕然とするかもしれません😅

転送速度の遅い昔のMIDIケーブルでは-8192から+8191までの変化をバカ丁寧に送信すると回線がパンクするので、データを欠落させるしかないという制約もあったのでなんとも言えない部分ではあります。

演奏法のチョーキングやアーミングやポルタメント(無段階の音程変化)とグリッサンド(半音・全音ごとの音程変化)くらいの聞いてわかる違いが出ることがあります。